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髭本 亘; 横山 淳*; 伊藤 孝; 鈴木 泰雅*; Raymond, S.*; 柳瀬 陽一*
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(49), p.e2209549119_1 - e2209549119_6, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)量子臨界点近傍においては様々な量子状態が出現し得る。特に非通常型の超伝導の対形成には量子臨界揺らぎが重要な役割を担っているものと考えられている。本論文ではミュオンと中性子を用いて観測したCeCo(InZn)の超伝導状態について報告している。=0.03付近から超伝導状態において磁気秩序が発達する様子が観測され、量子相転移が起こっていることを示している。さらにその転移点において超伝導磁場侵入長の増大が見られており、これらの結果は量子臨界性と超伝導電子対形成の強い相関を示している。
松下 健太郎; 江連 俊樹; 今井 康友*; 藤崎 竜也*; 田中 正暁
日本機械学会関東支部茨城講演会2021年度講演論文集(インターネット), 4 Pages, 2021/08
ナトリウム冷却高速炉の原子炉容器内自由液面部でのガス巻込み現象の評価において、ガス巻込み現象の評価ツールとして「Stream Viewer」の開発を進めている。Stream Viewerは、渦周りの速度分布およびBurgus渦モデルを用いて渦中心の減圧量を算出し、その渦のくぼみ深さを予測するツールである。本報では、速度分布から連続的な渦中心線を抽出する機能をStream Viewerに実装し、渦中心線に沿った減圧量の3次元分布を評価する手法を検討した結果を報告する。矩形流路体系での非定常渦の水流動実験を対象に、渦中心線抽出機能を実装したStream Viewerを適用し、渦中心線の抽出が可能であることを確認した。また、渦中心線に沿った減圧量の分布特性から、ガス巻込みの成長の有無を予測し、評価手法を高精度化できる見通しを得た。
横山 啓一; 松岡 雷士*
量子ウォークの新展開; 数理構造の深化と応用, p.228 - 242, 2019/08
拡散現象の数理モデルである古典的ランダムウォークの量子力学版として量子ウォークが数理統計分野で注目されている。この量子ウォークを光と物質の相互作用に応用することにより全く新しい同位体分離のスキームが可能になることを示す。また、その革新性と課題を紹介する。
藤田 峻也*; 阿部 豊*; 金子 暁子*; 湯淺 朋久*; 瀬川 智臣; 加藤 良幸; 川口 浩一; 石井 克典
Proceedings of 11th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-11) (Internet), 7 Pages, 2018/11
使用済燃料の再処理工程において、硝酸ウラニル・硝酸プルトニウム混合溶液をマイクロ波加熱脱硝法により、酸化ウラン・酸化プルトニウム混合酸化物粉末に転換しており、今後、量産規模の脱硝技術を開発する上で、マイクロ波加熱時の突沸及び噴きこぼれ防止のために運転条件の把握が求められる。本研究において、溶液の誘電率の増加に伴い熱伝導係数が低下することを明らかにした。また、噴き上げ現象においては気泡成長よりも無数の微小気泡の発生が支配的に影響を及ぼすと考えられる。
田中 正暁
Proceedings of 12th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-12) (USB Flash Drive), 14 Pages, 2018/10
ナトリウム冷却高速炉におけるサーマルストライピング現象の把握及びそれによる高サイクル熱疲労現象の評価を目的とした数値解析コード(MUGTHES)の開発整備を実施している。数値解析コード及び解析手法開発においては、検証、妥当性確認、そして不確かさ評価からなる一連のステップを踏んで、数値解析結果の妥当性をこのVVUQの作業を通じて定量的に示す必要がある。そこで、本研究では、VVUQの妥当性確認の基本問題として、T字合流配管の水試験WATLONにおける衝突噴流と呼ばれる流動状態を対象として数値解析を実施し、それにより得られた数値解析結果と実験結果を用いて不確かさ評価を実施し、その実施手順について確認した。これまでの検討結果を受け、単純化最小二乗法GCI評価手法(SLS-GCI)とエリアバリデーション法(AVM法)を用いて数値解析結果の不確かさと、実験結果と解析結果との差の大きさの評価を実施した。数値解析と不確かさの定量評価を通じて、MUGTHESのサーマルストライピング現象への潜在的な適用性を示すとともに、不確かさ評価結果からMUGTHESの解析モデルの改良点について抽出することができた。
倉田 正輝; Barrachin, M.*; Haste, T.*; Steinbrueck, M.*
Journal of Nuclear Materials, 500, p.119 - 140, 2018/03
被引用回数:29 パーセンタイル:66.35(Materials Science, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所(1F)事故により、燃料破損現象の再評価の重要性が指摘された。本論文では、BWR燃料集合体レベルでのマクロな視点から、メゾスケールの要素反応に関する視点までの現象論にフォーカスして、燃料破損に関する知見のアップデートについて、レビューする。BC制御棒の酸化は、BWRの事故においては、原理的により多くの水素と熱の発生原因となる。BC制御棒を用いた各種の総合型試験では、1250Cあたりで(燃料の急速な破損温度よりはるかに低い温度で)、制御棒の早期破損と溶融、さらに下方への移動と酸化が開始されることを示している。これらの制御棒破損は、原理的に、炉心溶融の初期過程に大きく影響する。水蒸気枯渇条件(1F事故で発生した可能性が指摘されている)は、燃料破損進展の傾向に大きく影響し、従来想定されていた典型的な事故進展と異なる化学的な傾向に燃料を溶融させる可能性が高い。要素反応の現象論の詳細とそれらの現象の炉心溶融後期過程への影響についても議論する。
佐藤 優樹; 村上 浩之*; 嶋岡 毅紘*; 坪田 雅功*; 金子 純一*
Japanese Journal of Applied Physics, 55(4), p.046401_1 - 046401_5, 2016/04
被引用回数:4 パーセンタイル:19.82(Physics, Applied)化学気相成長法(CVD)により育成した人工単結晶ダイヤモンドを用いて放射線検出器を製作し、検出器のエネルギー分解能、生成電荷キャリアの収集効率、及び長時間安定性の調査を行った。検出器固有のエネルギー分解能は半値幅で約0.4%であり、Amから放出される4つのエネルギー(5.389, 5.443, 5.486及び5.545MeV)の粒子の観測ができた。電荷キャリアの収集効率は電子、正孔ともに98%を達成し、さらに、主として電子を検出器内でドリフトさせた場合、100時間以上の粒子照射でもエネルギースペクトルや分解能の劣化は見られなかった。一方で、主として正孔を検出器内でドリフトさせた場合、照射時間と共にエネルギースペクトルが劣化するポーラリゼイション現象が観測された。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 吉田 啓之; 秋本 肇; 青木 尊之*
可視化情報学会誌, 25(Suppl.1), p.435 - 436, 2005/07
著者らは過渡的な界面構造を正確にとらえることができる界面追跡法を利用した二相流解析コードの開発を行っている。本報では革新的水冷却炉の炉心燃料チャンネルを流れる水-蒸気系気泡流を対象にして行った大規模シミュレーションの結果を可視的に検討した結果について述べる。具体的には、燃料チャンネルを模擬した一辺2mmの正方断面を有する矩形ダクト内に500個以上のマイクロバブルが存在する場合の気泡流解析を行い、微細な気泡は下流へと移行しながら合体し、次第に大きな気泡が形成される。その結果、気泡の合体により気液界面が大きく変形し、それに伴って発生する気泡周囲の流体の複雑な速度分布が気泡の合体をより促進させている、ことを明らかにした。
大森 俊造
産業と電気, (629), p.1 - 2, 2005/02
JT-60プラズマ実験においてはパルス的に大電力を使うため、商用幹線に電圧及び周波数変動の影響を与えないようにシステムに工夫が施されている。大きいはずみ車効果を有する縦軸型電動発電機に回転エネルギ-を蓄え、それを利用して発電する。その電力は変圧器により降圧しサイリスタ変換器またはダイオ-ド整流器により直流に変換してJT-60トロイダル磁場コイル,ポロイダル磁場コイルへ大電流を給電し、プラズマの発生・維持,形状制御を行っている。プラズマ加熱装置へは交流を給電している。このような電源システムの運転保守に従事してまた著者にとって、特に電気保安上の貢献が大きかったものは、以下の通りである。(1)電動発電機細密点検,(2)電動発電機セルビウス装置絶縁劣化対策,(3)電動発電機の中性点接地抵器の加熱現象の対策、以上の経験を総括して電気を取り扱う関係者に役立つ情報を紹介する。
朝倉 伸幸
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(12B), p.B335 - B347, 2004/12
被引用回数:18 パーセンタイル:51.13(Physics, Fluids & Plasmas)本発表では、最近のリミタ及びダイバータトカマクの長時間放電実験における周辺プラズマと対向材の水素吸着についてまとめる。特に、JT-60Uでは昨年度から長時間運転(最大65秒)を開始した。比較的高密度の高閉じ込めHモード放電を30秒間維持し、これを繰り返す実験を行い、ダイバータ及び第一壁の飽和現象とダイバータプラズマの変化を調べた。ダイバータ排気とともに多量の重水素ガスパフ(0.5と1.5g)を行った実験を続けたが、飽和現象は見られず、両者とも約半分の重水素がダイバータ部に吸着した。しかし、ダイバータ排気を停止した放電の後では吸着量は低下した。ダイバータ低温部(プライベート部)での吸着量が増加し飽和に近づいたと考えられる。さらに放電中の飽和現象もダイバータのプライベート部で観測された。局所的な粒子リサイクリング束と炭素発生の増加が観測されたが、30秒放電ではダイバータ全体の5-10%程度と小さい。しかし、ELMの性質が変化し、X点付近の周辺における中性粒子密度の増加あるいは、電流密度や圧力分布の変化により、周辺プラズマの閉じ込め特性が劣化すると考えられる。
武井 奈帆子; 中村 幸治; 筒井 広明*; 芳野 隆治; 河野 康則; 小関 隆久; 飛田 健次; 飯尾 俊二*; 嶋田 隆一*; Jardin, S. C.*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 46(12), p.1815 - 1830, 2004/12
被引用回数:3 パーセンタイル:9.95(Physics, Fluids & Plasmas)ディスラプション直前の熱消滅の際、正磁気シアプラズマではプラズマ電流分布の急激な平坦化により電流の正スパイク現象が発生する。一方、もともとの内部インダクタンスが小さい負磁気シアプラズマでは、電流分布の平坦化により内部インダクダンスが増加し、負のスパイクが発生するとされている。また、熱消滅時の急激な圧力低下によるプラズマの内向き移動によっても常に正スパイク現象が発生するとされているが、JT-60Uではこれらの解釈に反するさまざまなスパイク現象が観測されるなど、熱消滅時のプラズマ電流挙動は未だ統一的に理解されていない。本研究では、正及び負磁気シアプラズマで観測されている電流スパイク現象の発生機構を調べるため、プラズマと真空容器との電磁相互作用を含めた磁気流体シミュレーションを行った。その結果、熱消滅時の急激な圧力低下に伴うプラズマの内向き移動により真空容器表面に渦電流が誘起され、これによりプラズマ電流重心の大半径位置が小さい場合は電流が増加し、電流重心の大半径位置が大きい場合には反対に減少し得ることを初めて指摘した。また、負磁気シアプラズマにおいても、電流分布の平坦化によりさらに内部インダクタンスが下がり正スパイク現象が発生し得ることを示し、電流スパイク現象の機構について統一的な解釈を与えた。
川北 史朗*; 島崎 一紀*; 今泉 充*; 桑島 三郎*; 依田 真一*; 大島 武; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.151 - 154, 2004/10
地上試験において観測されたCu(In,Ga)Se太陽電池の放射線劣化特性の回復現象を考慮することで、民生部品実証衛生MDS-1を用いた宇宙試験でのCu(In,Ga)Se太陽電池の特性変化を解析した。バンアレン帯を横切る軌道を周回するMDS-1での1年間の試験後においてもCu(In,Ga)Se太陽電池の発電特性はほとんど劣化せず、開放電圧が約1%のみの低下という非常に高い耐放射線性が確認できた。MDS-1軌道の平均温度(70C),同程度の温度における地上試験で得られた劣化の回復率110/s(短絡電流)及び210/s(開放電圧)、並びにMDS-1軌道での放射線量を考慮して太陽電池の特性変化を解析した結果、放射線照射による劣化と熱アニールによる回復が同時に起こり、結果的に、軌道上では無劣化になると考えられ、軌道での実証試験結果と地上試験データを用いた計算結果に良い一致が得られた。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
第23回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.121 - 124, 2004/06
革新的水冷却炉の稠密燃料集合体内二相流挙動を大規模計算によって予測する研究を行っている。今回の解析では、燃料集合体入口の流速,ボイド率等を種々に変えて行い、複数燃料棒まわりの液膜流挙動に関して、次のような定量評価が得られた。燃料棒の外周は薄厚の液膜で覆われ、その外側を蒸気が流れる。燃料棒間隔が狭い場所では、隣り合う燃料棒が液膜によって接続される架橋現象が見られる。また、蒸気は燃料棒三角ピッチ配列の中心部をストリーク状に鉛直方向に流れる。この領域は狭隘部に比べて摩擦抵抗が低いため、蒸気は流れ易いからである。さらに、一連の解析結果は、実験結果の傾向とよく一致することがわかった。
大山 英典*; 高倉 健一郎*; 中林 正和*; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 神谷 富裕; Simoen, E.*; Claeys, C.*; 久保山 智司*; 岡 克己*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 219-220, p.718 - 721, 2004/06
被引用回数:3 パーセンタイル:24.88(Instruments & Instrumentation)人工衛星は高温で長期間、放射線にさらされるため、その中で用いられる半導体素子について、放射線照射と照射中の温度との関係を評価することが重要である。本研究では、近年非常に注目されているオプとエレクトロニクスデバイスについて照射による電気特性の変化と温度との関係を評価した。評価に用いた試料は、InP基板の上に成長させたInGaAsのエピタキシャル層で作られたフォトダイオードで0.95から1.65mmの波長範囲を有したものである。照射は、2MeVの電子線を用い照射線量は、110 e/cmとし照射中の温度を50, 100, 200及び300度に保持し、無印加状態で行った。その結果、電子線を照射して生じる欠陥レベルが照射中の温度の上昇に伴い減少した。また、300度の照射では、光電流の低下が初期値の30%であった。これにより、放射線照射による電気特性の変化が高温照射によって回復することがわかった。本会議では、これらの実験結果について紹介し議論する。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 呉田 昌俊; 玉井 秀定; 秋本 肇
Proceedings of 5th International Conference on Multiphase Flow (ICMF 2004) (CD-ROM), 14 Pages, 2004/06
革新的水冷却炉の稠密燃料集合体内の水と蒸気の二相流の構造を直接解析による大規模シミュレーションによって解明する研究を行っている。今回は、燃料棒表面の液膜挙動に注目し、解析を行い、次の成果を得た。(1)燃料棒表面は薄厚の液膜で覆われる,(2)隣合う燃料棒の間隔が最も狭い領域で液膜の架橋現象が見られる,(3)逆に蒸気は燃料棒間隔が広い領域を鉛直方向にストリーク状に流れる,(4)これは水平断面方向に三角ピッチ状に配列された燃料棒で囲まれる中心の領域は燃料棒狭隘部に比べて局所的に摩擦抵抗が低く、流れ易いためである,(5)稠密炉心における気泡の運動は流れ方向に対する直線的な移動が支配的であり、従来の正方ピッチ配列炉心で確認されている水平方向への移動の影響は小さい傾向にある。
小瀬 裕男*; 高瀬 和之; 吉田 啓之; 叶野 琢磨; 呉田 昌俊; 秋本 肇
第41回日本伝熱シンポジウム講演論文集, 2 Pages, 2004/05
原研が開発を進めている低減速軽水炉を対象として、稠密燃料集合体内の二相流挙動を直接解析によって予測する研究を、地球シミュレータによる大規模シミュレーションによって行っている。本研究では、熱の影響がない非加熱等温流条件に対して、低減速軽水炉の炉心条件をもとに燃料集合体入口の流速やボイド率を変えて一連の解析を実施し、次の傾向の予測に成功した。(1)燃料棒表面が薄厚の液膜で覆われる,(2)燃料棒間隔が狭い領域で液膜の架橋現象が起こる,(3)蒸気は燃料棒間隔が広い三角ピッチ中心部をストリーク状に流れる。
中村 幸治; 筒井 広明*; 武井 奈帆子*; 白井 浩; 杉原 正芳; Gribov, Y.*; 小関 隆久; 飛田 健次; 飯尾 俊二*; Jardin, S. C.*
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.6, p.196 - 198, 2004/00
超電導・先進トカマク炉に必要な遅い電流立上げシナリオを軸対称MHDシミュレーションによって調べた。正磁気シアから負磁気シア配位へと単調に遷移させる制御にもかかわらず、外部から駆動する非誘導電流と内部輸送障壁(ITB)で生じた自発電流との競合的リンクによって正磁気シアと負磁気シア分布の間を繰り返す自己組織的な回帰現象が起きることを示した。また、その物理機構とこれが起きる運転条件を明らかにした。さらに、回帰現象に伴う誘導電場や超電導コイルに生じるAC損失について、その影響を炉工学的観点から論じた。同時に、負磁気シア・プラズマに強い加熱を加えた際の電流ホール形成の可能性を調べ、炉の運転条件についての考察を行った。
石井 康友; 安積 正史; 岸本 泰明
Theory of Fusion Plasmas, ISPP21, p.213 - 226, 2004/00
逆転磁気シアプラズマにおける重要な電磁流体不安定性の1つであるダブルティアリングモード(DTM)の非線形不安定化過程と、それによるDTMの爆発的成長に関して報告する。DTMの長時間成長を調べるための高精度数値シミュレーションを行うことにより、新しい非線形不安定化過程とそれに付随する新しい磁気再結合過程が存在することを明らかにした。この現象はトカマクプラズマの高性能化を阻害するディスラプション現象の解明に貢献するとともに、太陽フレア等の天体プラズマにおける未解明の爆発現象の研究に貢献する可能性がある。
石井 康友; 安積 正史; 岸本 泰明; Leboeuf, J. N.*
Nuclear Fusion, 43(7), p.539 - 546, 2003/07
被引用回数:27 パーセンタイル:61.29(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの負磁気シアプラズマの低ディスラプションで観測される時定数遷移現象が、ダブルティアリングモード(DTM)の非線形不安定化現象で説明できる可能性を示した。JT-60U実験データに基づく平衡配位に対して、トロイダル線形抵抗性MHD解析を行うことにより、抵抗性交換型モードが不安定なパラメータ領域においても、DTMが最大不安定モードとなりえることを明らかにした。さらに、円柱プラズマに対する非線形MHDシミュレーションを行うことにより、DTMの非線形不安定化とそれに伴う電流点形成に起因する時定数遷移現象の存在を明らかにした。また、トロイダルプラズマに対する非線形MHDシミュレーションを行うことにより、乱雑磁場中でも電流点が形成されることを示し、トカマクプラズマ中での電流点の実現可能性を示した。
高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*; 玉井 秀定; 秋本 肇
第22回日本シミュレーション学会大会発表論文集, p.85 - 88, 2003/06
自由表面を有する流れは、大気と接する海洋,河川,湖沼のような自然界ばかりでなく、化学プラントや原子力機器などの工学の分野にも広く存在する。自由表面は移動境界であると同時にその存在が表面近傍の乱流構造を変化させるため、運動量輸送や熱物質輸送に大きな影響を与える。特に、乱れエネルギーの散逸がその発生率より大きくなる界面近傍の乱流構造は現在も不明な点が多い。原子炉燃料棒表面に見られる液膜流も自由表面流の一つである。著者らはすでに、燃料棒表面に設置されるスペーサリブ等の微小突起が液膜流に及ぼす影響を数値的に調べ、気液界面に発生する大きなせん断力によって流体中に乱れが形成され、これにより界面形状の不安定性が促進されることを明らかにした。本報では、この界面不安定現象を4種類の乱流モデル(標準型k-,改良型k-,レイノルズ応力及びラージエディシミュレーション)を使って予測し、界面挙動に及ぼす乱流モデルの影響を比較した。各モデルによる予測結果で最も大きな違いは、突起後方に形成される循環流の様相と強い乱れによって液膜から生成される液滴挙動の2つであり、特に後者はLESの結果に顕著であった。今後は、実験を行って検証データを取得するとともに界面挙動を高精度で予測できる乱流モデルの開発を行う考えである。